季節の東洋医学的解説~11月~

季節の東洋医学的解説~11月~

2020-11-10

「11月」

陰陽五行:亥・陰・水・腎

二十四節気:立冬(11月7日)
        冬の始まり。
       この日から立春の前日までが暦のうえでの冬。      
      小雪(11月22日)
       ちらちら雪が降り始める頃だが、それほど多くはない。

冬は一年で最も寒く、一年間の気候の変化によって疲れが出てくる頃です。気温が下がるため、自然界では陰が増加します。五行では「水」に属し、臓腑では「腎」と関係します。身体は寒さの影響を受けて縮こまり、毛細血管が収縮して血の巡りが悪くなります。ただし発汗量が減るため、尿量が増えます。寒くなって活動が減るため、運動量そのものが低下します。激しすぎる運動には適していませんが、適度な運動を行うのは良いでしょう。

冬の養生法

冬は「腎」に関連する季節なので、適度に「腎」を補います。虚弱体質の人は特に、身体を冷やさず温めるよう心掛けましょう。「腎」を補う食材は動物食品に多いので、煮込み料理や煮魚、鍋料理などを中心に摂り、身体を温めるトウガラシやシナモンなどの辛味の香辛料を使うのがお勧めです。
冬は寒邪に冒されやすくなります。風寒の邪気による感冒(風寒感冒)に罹った場合は、症状の軽いうちに辛温解表(体内の熱を発汗によって取り除くこと)ができる辛味の食材を使うと良いでしょう。実際に風寒感冒を治療する漢方薬の中には、辛温解表剤が多く含まれています。ただし、虚熱(体内の潤い不足で熱が発生)がある人や実熱邪がある人は、温め過ぎは良くありません。

冬に起こりやすい症状

風寒による感冒(発熱、悪寒)、冷え、各種疼痛(頭痛、月経痛、腰痛など)

おすすめ食材

・腎の陰液を増やす(滋陰)もの
  白きくらげ、黒ゴマ、黒豆、ナツメ、クコの実、アワビ、鴨肉、豚肉、
  スッポン、牡蠣、ナマコなど

・腎陽を補い身体を温める(補陽)もの
  エビ(干しエビ、桜エビ)、クルミ、羊肉、ニラ、八角、酒など

・温熱性のもの
  もち米、鶏肉、豚レバー、ナマコ、太刀魚、コリアンダー、ネギ、
  ニンニク、ショウガ、胡椒、ヨモギの葉、玉ねぎ、カボチャ、アンズ、
  栗、黒砂糖など 

《編集後記》
いよいよ冬がやってきました。この頃になると昼夜の温度差も大きくなり、服装選びが難しくなります。朝の冷え込みも厳しくなるため、風邪を引かないように体調には一層の注意が必要です。

冬に猛威を振るうインフルエンザだけでなく、今年はコロナ対策も必要です。寒くなるにつれ、欧米だけでなく日本でもコロナ患者が増えてきました。今後もより一層警戒していかなければなりませんが、三密を避けて予防をきちんとしていれば、なんとか冬を乗り超えられるかと思います。

これから寒さは厳しくなりますが、身体だけでなく心も温かく過ごしていきたいものです。