季節の東洋医学的解説~6月~

季節の東洋医学的解説~6月~

2020-06-23

「6月」

陰陽五行:午・陽・火・心 + [長夏の土・脾]

二十四節気:芒種(6月5日)
        田植えを始める時期。梅雨入りの頃。
      夏至(6月21日)
        1年でもっとも昼が長く、夜が短くなる日。
雑節:入梅(6月10日)
      立春から135日目の日。歴の上での梅雨入りの日。梅が実る頃で、
      梅干づくりが始まります。
  *雑節とは日本独自の暦のこと

6月に入り、いよいよ梅雨の季節となりました。今年2020年、本州では6月10日前後に梅雨入りしました。梅雨明けは、平年並みだと7月20日前後になるでしょう。

この梅雨の時期は、湿度が高く、東洋医学では最も湿邪が多い時期とされます。中国では夏の終わりから秋の湿度が高い時期を「長夏」と呼びますが、日本ではもっとも湿度の高い梅雨の時期を「長夏」とみなします。「長夏」は五行で「土」に属し、「脾」「胃」と関係が深くなります。

「長夏」とは

中国の季節の移り変わりと五行説

春(木)→ 夏(火)→ 長夏(土)→ 秋(金)→ 冬(水)

暦の上では「土(用)」の季節は本来、季節と季節の間に来るものなので、陰陽五行配当は

春(木)→(土)→ 夏(火)→(土)→ 秋(金)→(土)→ 冬(水)→(土)→春(木) 

の繰り返しとなります。
しかし、季節の移り変わりを五行説に当てはめた場合、四季は4つしかないため、「木火土金水」の「土」に当てはまるように「長夏」を加えて「春夏(長夏)秋冬」としたようです。中国黄河地域では夏の終わりが最も湿度の高い季節で、五行説もぴったり一致したみたいですね。

日本の場合は、上記の夏(火)と長夏(土)が入れ替わっています。

日本の季節の移り変わりと五行説

春(木)→ 長夏(土)→ 夏(火)→ 秋(金)→ 冬(水)

暦の上では6月では「夏(火)」に当たるのですが、梅雨のために季節が入れ替わったかのようになっています。実際7月になると「土」の季節になるので、それが少し前にずれ込んだとも解釈できます。いずれにせよ、6月は「湿」が多い季節なので、湿邪に対する養生法を行うようにしましょう。

長夏の養生法

梅雨時期は湿度が高いため、体内の水分が汗などで排泄されずに「湿」が溜まった状態になりやすく、「重だるい」といった症状が出やすくなります。また、「脾胃」にも影響を及ぼすために下痢や軟便が多くみられます。「脾」は「肌肉」と関連するため、化膿や湿疹などの症状も出やすくなります。

この時期の養生法では、体内の「湿」を取り除き、水分代謝を良くするようにします。冷たいものや甘いものの食べ過ぎには注意しましょう。冷たいものは消化不良を起こしやすく、甘いものは「湿」を体内に溜めこむ性質があります。お酒も「湿」を生んでしまうので、飲酒もほどほどにしましょう。

おすすめ食材

湿を取り除き、むくみを取るもの
  スイカ・冬瓜などの瓜類、ハト麦、大麦、小豆・緑豆などの豆類、
  ハマグリ・昆布などの海産物、もやし、白菜、アスパラガス、
  セロリ、トウモロコシなど

・消化を助けるもの
  シソ、陳皮、パセリ、セロリ、茶など

・発汗作用があるもの
  ネギ、ショウガ、シソなど 

《編集後記》
6月に入り、梅雨が始まりました。緊急事態宣言も解除され、街に人々が戻ってきました。ただ、例年と違う風景が「マスク姿の人々」です。今年はいつも以上に暑くなりそうですが、マスクのせいで熱中症が多く発生するのではと危惧しています。本格的に気温が上がる前に、しっかりと体調を整えて暑い夏に備えましょう。かく言う私も、涼しい夏用マスクをそろそろ手に入れなければと探しています。